337: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 21:46:32.82 ID:XKChcHhOo
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引用元: 『終末艦これショート』

338: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 21:49:08.18 ID:XKChcHhOo

【東方作戦】



某日、鎮守府は膠着状態にあった戦線を打開すべくある作戦の決行を発表した。
――通称『東方作戦』。旧来の東方艦隊を再編し、水上艦の大艦隊を結成。その艦隊を
率いて敵包囲網の突破を期待する作戦……という話なのだが……。



――鎮守府――


山城「ちょっと提督! これは一体……どういうことよ!」

元帥「……見ての通りだが?」

山城「聞いてないわよ……こんなの! 何で扶桑姉さまが……東方艦隊の新しい旗艦に!」

元帥「……良いではないか。彼女は喜んでいた、久々に旗艦になれると」

元帥「栄えある東方艦隊を率いることができるのだ、何が不満なのか……」

山城「ふざけてるの……? 何が東方艦隊よ、こんなの……囮じゃない!」

元帥「……ただ、敵を引きつけてくれればいい。進んで犠牲になれとは一言も言ってはいない」

山城「支援の航空戦力もなしに? ……呆れた」

元帥「仕方がないのだ。この作戦の主は手薄になった敵泊地を少数精鋭の別働隊が叩くことなのだから
航空戦力をそちらに割いては攻略に不安が残る。速やかに敵泊地を奪い取る……
それこそが重要なのだ……一刻も早くシーレーンを確保し、他国との連携を回復せねばならない」

山城「……もういいわ。私が直接扶桑姉さまを説得すればいいだけだし」

山城「失礼しましたッ」


バタン



元帥「……むぅ……中々うまくはいかんものだな……私は肝心なところでいつも中途半端だ……」



339: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 21:52:20.46 ID:XKChcHhOo

――鎮守府・修理ドック――


山城「扶桑姉さま!」バン!

扶桑「あら……山城? どうしたの、そんなに血相を変えて」

山城「姉さま! 今すぐ東方艦隊の旗艦を降りてください!」

扶桑「……いきなり何を言い出すの、山城。せっかく旗艦になれたんですもの……降りるなんてイヤよ」

山城「姉さまは騙されています! 姉さまは囮です! 東方艦隊そのものが囮なんです!」

山城「無能な軍令部の作戦に振り回されてその身を危険に晒す必要はありません!
さぁ、こんなむちゃくちゃな作戦、ボイコットしましょう!」

扶桑「……いやよ」

山城「ど、どうして!?」

扶桑「……私は伊勢や日向には負けたくないの」

扶桑「勿論、山城……貴女にもね。私は今度こそ、役に立ってみせなくてはならないの」

山城「ね、姉さまぁ……」

扶桑「それに、私が降りたら誰が旗艦を務めるの? この"囮艦隊"の」

山城「……それは」

扶桑「あなたが、務めるとでも言うの? それじゃあ私は、自分の代わりに妹を囮に差し出した
最低な姉になってしまうわ……」

山城「でも、姉さま……」

扶桑「囮だとしても……私はそれを立派に務め上げてみせます。それが私に課された役目だというなら」

山城「意志はお変わりにならないのですね……」


扶桑「私は提督の……皆の役に立ちたいの……」


山城(どうしてあんな提督のために……!)

山城「わかりました……ですが、お姉さま一人にそのような重荷を負わせる訳にはいきません」



山城「私も艦隊に加わります」




340: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 21:56:44.77 ID:XKChcHhOo

――数日後。

――鎮守府・大講堂――


元帥「諸君! 時は満ちた! この作戦が成功すれば戦局は大きくこちらへ傾き、他国との連携も回復する
連携が回復すれば、深海棲艦との戦いにも終わりが見えてくることだろう!」

元帥「この作戦は必ず成功させなくてはならない! だが安心し給え、我々にはあらゆる事態に対する備えがある!
失敗など恐れる必要はない!」

元帥「勝利は我々の手にあり! 諸君ら東方艦隊の健闘を祈る!」


第一東方艦隊、第二東方艦隊、第三東方艦隊。それぞれに編成された大勢の艦娘達が一同に会し、
男の言葉を聞いていた。大勢の艦娘の中を様々な思いが駆け巡っていったが、最終的に皆同じことを考えた。
この戦いは今後の行く末を左右する程の大きな海戦になるだろう……と。


第一東方艦隊:旗艦『扶桑』
東方海域へ出向き敵主力を叩く打撃艦隊。極めて大規模な編成だが、航空戦力は実質皆無。
対空装備にて敵航空戦力に対抗する算段だった。


第二東方艦隊:旗艦『大和』
第一東方艦隊の進軍により、恐らく手薄になるであろうサーモン海の泊地を叩き、
サーモン諸島の奪還及びシーレーンの確保を目的とした、大艦巨砲主義の提督が
満を持して投入した超弩級戦艦を中心とした少数精鋭艦隊。
当初は南方泊地の二航戦を編入する予定ではあったが、機関の整備が長引いた為
軽空母の飛鷹・隼鷹・千歳・千代田が代わりを務めた。


第三東方艦隊:旗艦『伊8』
潜水艦を中心に編成された艦隊。敵の補給及び支援の分断が目的だが、状況によって他の艦隊の支援に
当たることも視野に入れられている。伊58等のロストした潜水艦の代わりに伊400型潜水艦が投入されている。


※赤城ら空母機動艦隊を含む勢力はこの時、海域の戦線維持で身動きが取れない為、作戦には不参加だった。
陸奥も鎮守府待機の為不参加。



341: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:00:10.68 ID:XKChcHhOo


――鎮守府・港――


わいわいがやがや……

皐月「第一東方艦隊だってさ、なんかかっこいい響きだよね!」

長月「第一というのがいいな……非常に良い!」

望月「んあぁ? あたし、あんまプレッシャーかかるようなのはイヤなんだけど……」

弥生「……こんな大艦隊、初めて、です」

山城(この子達は……自分達が囮にされるって知らないのね……)

扶桑「さぁ、皆……集まって」

山城(姉さま……本当に、よろしいのですか……? こんな……)



「……何だその情けない顔は。これから出撃する戦艦の顔とは思えないぞ」



山城「……アンタ、長門……何しに来たのよ」

長門「くちく達の様子を見るついでに……お前がどんな顔をしているのか見に来た」

山城「はぁ、第二東方艦隊の精鋭さんは随分と余裕ね。
アンタの好きな駆逐艦が囮に使われるっていうのに」

長門「……私の好きな駆逐がいつ囮になった?」

山城「あなたならわからないはずないでしょう? この作戦は完全に第一東方艦隊を囮としているわ」

長門「……確かに、軍令部の意向としては、それが正しいのかもしれんな」

山城「無能な提督を持つと、苦労するわ」


342: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:03:52.44 ID:XKChcHhOo

長門「提督は……提督なりに頑張ってはいるさ。しかし立場上、あいつは私情を挟む訳にはいかない。
だから冷たいことを言ってしまうかもしれないが、きっと本心では、彼女達には沈まないでいて
ほしいと願っているはずだ」

山城「ふん……どうかしら」

長門「作戦の全てが提督の一存で決まるものではないよ。軍令部の意向もある。
彼個人を無能と避難するのは短絡的だそれに……」

長門「作戦はあくまでも敵を引きつけることだ。囮だからと自棄になり、無駄に命を捨てることではない」

長門「敵艦隊の撃破ではなく、あくまで敵の注意を引きつけるだけでいい。攻略戦より遥かに楽だ」

長門「とはいえ作戦の要であることに違いはない。提督は……お前達の力を信じているから、
この大事な役目を任せたのではないか?」

山城「提督が……?」

長門「私よりも速力の劣るお前達は泊地強襲等の電撃戦より、防戦の方に向いている。合理的な判断だ
本当に提督がお前達を捨て駒のように扱っていたのなら、潜水艦隊など送り込まないさ」

山城「あれは、第二東方艦隊の支援でしょ……?」

長門「軍令部の目もあるし、名目上はそうなっている。が、実質こちらの支援に当たるのは伊8らの直属だけさ」

山城「……そ、それじゃあ……」


長門「上手く潜り込ませた提督に感謝しておくんだな。――あいつは、決してお前達の死を望んではいない」


山城「……」

山城「……私、あの人に酷いこと言ったわ」

長門「そうか」

山城「何もわかってなかった。私……なんてことを」

長門「ふ……ならばその働きを持って誠意を示せばいいだけのこと」

長門「無事生き延びて、誰一人欠けること無く帰投しろ。囮だからと不貞腐れるのではなくてな。
お前も戦艦の端くれだ、これくらいできるだろう?」

山城「……あ、当たり前よ!」

長門「そうだ。それでいい。さっきの腑抜けた顔じゃ、とてもくちくを守れる様子ではなかった」



343: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:05:55.72 ID:XKChcHhOo

長良「山城さーん! もう出撃するみたいですよー!」

山城「……そろそろ行かなくちゃいけないみたいね」

長門「しっかりと頼んだぞ。お前達の働きが、作戦を左右する」

山城「わかってるわよ。……それじゃあね」


長門「…………」

陸奥「あらあら、さっきまで他人に偉そうなこと言ってたくせに、不安そうな顔になってるぞ?」

長門「いや、くちくがな……」

陸奥「……長門、あなた……いいかげんにしなさいよ」

長門「戦場に赴く駆逐の背中を見送るのはいつだって不安になる……」

長門「だが扶桑姉妹のことは心配しとらん。あいつらも、そこまでヤワじゃないだろう」

陸奥「あら、意外と信用してるのね」

長門「提督も信じているのだ。私達も信じよう……」

陸奥「そうね……」



344: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:07:45.00 ID:XKChcHhOo

――司令室――


「提督殿、第一東方艦隊出撃しましたな」

元帥「君は今回の作戦……どう思う? 参謀妖精くん」

「私ですか? そうですな……扶桑も山城も性能的には不安が残りますが、まぁやってくれるでしょう
敵は多くてもこちらの艦隊を上回る数は揃えられないはず……空母機動艦隊の方の対応にも戦力を
割いているでしょうしね。念のため駆逐艦達には10cm高角砲を配備していますし……駆逐艦が多い
とはいえ迎撃にも十分対応できるはずです……まぁ、妖精の私から言えるのはこのくらいですかね」

元帥「……何はともあれ、うまくいくと良いのだが」




345: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:10:24.61 ID:XKChcHhOo

――鎮守府・港――


大和「……さて、第一東方艦隊も出撃しましたし」


大和「――第二東方艦隊も出撃しましょう!」


比叡「大和さん、まだ早いですよ。あまり早く出撃しても意味が無いですし」

霧島「私の計算によると、出撃は最低でも一時間後になりそうですね」

隼鷹「大和ってば焦りすぎんよ~」」

大和「す、すみませんっ。大和、旗艦になるの初めてで……」

千歳「わかりますよ。初めては緊張しますもんね」

千代田「私もお姉との初めての時は……とっても緊張しちゃった! てへ☆」

飛鷹「ちょ、何言ってんだこいつ」


長門「……ま、そう緊張するな、大和。肩の力を抜け。演習通りにこなせばいいんだ」


大和「長門さん……駆逐艦がいないとまともですね」

隼鷹「頼りになるんだけどそこだけが問題だよなぁ~」


346: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:13:56.00 ID:XKChcHhOo

飛鷹「敵がこっちの大艦隊におびき寄せられるまで、私達は目立たないように航行すればいいのね」

大和「……正直な所、もう少し艦娘の数を増やしてもらいたかったですね……たったの八隻はやはり心細くて……」

比叡「そうですね~、でもこれでも増えた方なんですよ? 当初は飛鷹さん達ではなく二航戦のお二方が編成に
入られる予定でしたから、元は六隻編成でしたし……まぁこちらは少数精鋭と銘打ってますし、仕方ありませんよ」

飛鷹「戦線の優劣は第一東方艦隊に掛かってるわ……、あの子達、大丈夫だといいけど」

比叡「大丈夫です。皆さん、頑張ってきたんですから……きっとうまくいきます!」

霧島「……それはそうと、皆さん装備の方は大丈夫ですか? 念のため三式弾の装備は欠かせないでください」

長門「徹甲弾は?」

霧島「必要ありません」

長門「うー! うー! 長門徹甲弾積むー!」

隼鷹「かわいくねー……ひたすらにかわいくねー……」

長門「む、可愛く頼んでもやはりダメか?」

霧島「なんでいけると思ったんですか……」

長門「つまんねー事聞くなよ!」

隼鷹「それ言いたいだけだろぶっちゃけ」

千代田「千歳お姉ェ! 千歳お姉のわがままなら私、いくらでも聞いちゃう!」

千歳「はいはい」

千代田「千歳お姉ェ! お姉は私にとっての新たな光だ!」

飛鷹(扱いに慣れている……)



347: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:15:41.42 ID:XKChcHhOo

――海上・第一東方艦隊――



扶桑「あぁ……空はあんなに青いのに……」


扶桑「どうしてこんなに大艦隊……」

山城「ど、どうなされたのですか姉さま」

扶桑「私なんかがこんな大艦隊を率いていいのか急に不安になってきたの……」

山城「エェー!? このタイミングで!?」

加古「お、おいィ……マジで言ってんのかそれ?」

長良「大丈夫ですよ! みんなコンディション最高ですし!」

扶桑「コンディション最高でも船体が真っ二つに割れることもあるのよ……」

球磨「そ、そういう不安になるようなことは言うんじゃないクマ!」

扶桑「FUKOのゲージがMAXになりそう」

龍田「……あらぁ~……旗艦がこれで、ほんとうに大丈夫~?」

山城「ちょっと自信ない」

加古「山城さんよ、あんた妹だろ? なんとかしてくれよ」

山城「え、ええと……」

山城「ね、姉さま! どうなされたのですか! 以前はあんなに意気込んでいたじゃないですか!」

扶桑「いざ海域に出たら心細くなってきて……というか、正直な所あの時割りと勢いで言ってたし……」

山城「はえ~~~!?(白目)」



348: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:18:33.61 ID:XKChcHhOo

皐月「なになに? どうしたの?」スィー

文月「扶桑さん、かおいろわるいのぉ~?」スィー

山城「あっ、だ、大丈夫よ二人共! 姉さまは今なんかええと、ホームシックになってるだけだから!」

皐月「ホームシックぅ? なにそれ?」

文月「文月知ってるよぉ~。お家が恋しくなることでしょぉ?」

山城「そうよ。扶桑型はかつてのあまりに長すぎるドック生活のせいでドックから離れると禁断症状を起こす
体質になってしまったのよ。これがなければ、かのレイテ突入も可能だったというのに……憎い体質ね」

加古(話盛りすぎだろ)

皐月「ええ! だ、大丈夫なのそれ!」

山城「だ、大丈夫よ! 禁断症状は三十分くらいで収まるから!」

扶桑「あれ? 何故かしら、艦載機が見える……あははっ大きいー。……彗星かな? いや違う……違うな。彗星はもっとばあーって動くもんな」

皐月「ほんとに大丈夫なの?」

山城(現実逃避はやめてください姉さまぁ!)


349: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:20:04.61 ID:XKChcHhOo

文月「扶桑さん、不安なのぉ~?」

扶桑「クックック……黒マテリア」

文月「ん~……そうだ! 文月のこれ、貸してあげるねぇ?」

扶桑「クックック……っ? え、これは……?」

文月「前に一杯頑張った時に~、偉い人から貰ったお守りだよぉ」

文月「きっと扶桑さんの事守ってくれるから、使ってねぇ~」

扶桑「……あ、ありがとう」

文月「それじゃあ文月達、戻るねぇ。じゃあねぇ~」スィー

皐月「ばいばーい!」スィー

扶桑「…………」


350: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:22:46.92 ID:XKChcHhOo

古鷹「……扶桑さん、誰だって皆不安です。数はこちらが勝るはずという情報を得ても、無事に作戦を遂行できる確証なんて
どこにもありません」

古鷹「だからこそ、そういう時……旗艦であるあなたがしっかりとしなくてはいけないんですよ」

扶桑「そうね……そうだわ……」

扶桑(あの子達を、囮なんかで沈ませたりなんかしない……その為にも私がちゃんとしないと!)

扶桑「みんな……ごめんね。もう大丈夫よ、私」


扶桑「艦隊は私が勝利に導きます!」


山城「姉さまぁ……よかったぁ」

加古「あー、一時はどうなることかと思った」

古鷹「皆さん、一丸となって作戦を成功させましょう!」

長良「そうですね! やっちゃいましょう!」

龍田「ウフフ、天龍ちゃんよりも活躍しますよ~?」

球磨「なんだかんだで、皆の気持ちが一つになってよかったクマー」

山城(なんだ、そこまで悲観するような状況じゃないじゃない……)

山城(いけるわ……そんな気がしてきた)




351: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:24:34.83 ID:XKChcHhOo

文月「戻ったよぉ~」

睦月「乙なのです!」

如月「扶桑さんは……どうだったの~? あの人のきれいな肌、あんなに真っ青になっていたから」

文月「なんかねぇ~、ただのホームシックだってぇ」

皐月「すぐ治るってさ」

弥生(うそ臭い……)

長月「旗艦なんだからしっかりしてもらわないとな。味方の士気にも影響を及ぼす」

文月「お守り貸してきたから大丈夫だよぉ~」

長月「まぁ所詮、深海棲艦など烏合の衆。私達の敵ではない」

望月「はぁ……まーた始まった。あたしらなんて所詮駆逐艦だってのに」

皐月「でもさ、正直な所、これだけの戦力があって負ける事なんてあるのかな?」

長月「ないな。無敵艦隊だ。南方の卯月や菊月、三日月達にも見せてやりたいな
……この大軍勢! いやあ、壮観だ!」


352: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:26:18.10 ID:XKChcHhOo

弥生「……」

皐月「ん? どうしたの弥生? 浮かない顔だね? 弥生も気分悪くなった?」

弥生「いえ……その、弥生、こんな大きな艦隊に参加するのは初めてで……」

弥生「それに、この戦いはきっと……何か大きな分岐点になりそうな気が……」

睦月「あー、緊張してるのかにゃ?」

長月「ふん、我が同型艦ともあろうものが……情けない」

望月「まー、そんなに肩肘張らなくてもいいんじゃない? どーせあたしら駆逐艦が
できることなんて限られてるっしょ?」

如月「そんなに怖い顔してると、可愛い顔が台無しよ?」

弥生「……弥生は、かわいくなんか」

如月「もぅー、この子ったら謙遜して」

睦月「弥生は可愛いのです! うりうり!」

弥生「あう、頭を撫でないでください」

文月「弥生ちゃん、かわいー」

弥生「むう……」

睦月「にゃはは」

弥生「……」



弥生(……何事も無く、作戦が無事終われば……いいのです、が)



353: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:29:10.41 ID:XKChcHhOo

――――――
―――



――サーモン海域・第二東方艦隊――


大和「ふぅ、戦闘終了ですか……」


出撃した第二東方艦隊はサーモン海域へと進行した。今まで敵艦隊と二度の戦闘があったが、
いずれも危なげなく勝利を収めている。


比叡「お疲れ様。大和さん、ここまで大分いい感じに来てますよ!」

大和「あ、ありがとうございます……!」

比叡「さすが超々々弩級戦艦! 心強い!」

霧島「まぁここまでは想定内ね、何と言っても大和さんは最強の戦艦なんですからね?
当然の結果ですね? ま、この調子で、どんどんがんばってください」

隼鷹「期待してんぞ~? 国の命運がかかってんだからさ~?」

大和「き、期待に応えられるよう、大和頑張りますぅ!」

飛鷹「ほらほら、そうやってわざとプレッシャー与えない」

隼鷹「あ、ばれた?」

霧島「フフフ……金剛お姉さま譲りのちょっとした茶目っ気です」

比叡「私は本心から言っただけなんだけどなぁ……」


355: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:30:26.06 ID:XKChcHhOo

千歳「流れはこちらにあります。この調子でどんどん進撃していきましょう」

千代田「Yes! 千歳お姉ェ!」

比叡「よーっし、それじゃあ次もこの調子で参りましょう!」

長門「…………」

比叡「おや、長門さん、どうかなされたのですか?」

長門「む、いや、たいしたことじゃない……ただ……」

長門「あまり敵の数が減っているようには……見えない気がしてな」

比叡「そーですかね? 気のせいじゃないですか?」


長門「……だといいが……」


356: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:33:51.02 ID:XKChcHhOo

――第一東方艦隊――


加古「うーん……」

古鷹「あら、どうしたの加古」

加古「何か、水偵からの連絡が中々来ないんだよー……おっかしいなぁ」

古鷹「……何か、あったのかも」

加古「いやぁー、水偵の妖精の奴、寝不足だって言ってたしなー」

古鷹「ちょっと……大切な作戦なのよ? わかってる?」

加古「そんなこと言っても、あたしのせいじゃないし……ま、あいつも手練だし
寝不足程度で……」


「皆さん! 敵艦隊を発見しました! このまままっすぐに進んでいけば間もなく鉢会います」


加古「ほうら、ちゃんと来た……」

「敵艦隊の規模は……」

扶桑「……い、いえ、聞かなくてもわかるわ……ここからでもわかる……ッ!」

長良「な、なにあれ……なん、なの……!?」



357: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:37:22.37 ID:XKChcHhOo
――司令室――


「……そろそろ、第一東方艦隊が深海棲艦の軍勢とぶつかる頃でしょうか……?」

元帥「敵艦隊の数はわかっているのかね?」

「今のところは何とも……」

元帥「そうか……」

元帥(無事、敵を引きつけられていると良いのだが……)

元帥「第二東方艦隊の方はどうなっている?」

「只今サーモン海域を進行中との事。そろそろ先行している潜水部隊から
深部の様子が報告されるはずですが……」


「第三東方艦隊旗艦・伊8より入電! 」


元帥「……報告を」

「そ、そんな……」

元帥「どうした……?」

「サーモン海域最深部……敵艦艇多数! 姫級も確認されています!」

元帥「くっ……おびき寄せるのに失敗したか……まずは第二東方艦隊に指示を……」


「第一東方艦隊より入電!」


元帥「……ああ。敵は引きつけられなかったのだろう? 待ち構えていたとしても通常艦隊……」

「いえ……違います……」


我々は気づいていなかった。彼女達の恐ろしさを。


「敵艦隊……第一東方艦隊を遥かに上回る数の大艦隊を展開……待ち構えています」


元帥「は? 何を、言っている……?」


そして我々は思い知るのだ。敵の強大さを。

358: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:39:07.61 ID:XKChcHhOo

――戦闘開始――


山城「ど、どういうことよ……敵艦隊はこちらを下回る数だって……」

扶桑「うろたえてはダメよ山城! 敵航空隊の攻撃が来るわ……すぐに備えて!」

扶桑「大丈夫……第二東方艦隊がサーモン海域を攻略するまでの時間を稼げば……」

長良「敵機多数接近……か、数300以上!!」

扶桑「ぇ……」







その時見たものは、爆撃というにはあまりに壮絶すぎる、地獄の業火だった。








359: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:41:56.25 ID:XKChcHhOo

「駆逐艦・白雪轟沈! 如月大破!」

「駆逐艦・天霧轟沈! 第20駆逐隊……か、壊滅です……!」

「被害まだまだ拡大します! 報告しきれません!」

「ば、ばかな……たかが一度の攻撃で……ここまで被害が!」


第一東方艦隊、敵艦隊と遭遇。その規模は予想をはるかに上回り、
第一東方艦隊の対空処理能力を超えた開幕爆撃は艦隊に多大な被害をもたらした。


元帥「……扶桑! 大和! 聞こえているか! 作戦は中止だ! 今すぐ戻れ!」

大和『提督!? い、一体何があったのでしょうか!?』

元帥「甘く見ていた……我々の認識が甘かったのだ」

元帥「敵は遥かに強大だった。敵はそれを……隠していたのだ。思惑通りにやられた」

大和『そんな……』

元帥「この作戦の遂行は不可能と判断した。よって直ちに艦隊は帰還すること」



事態を重く見た鎮守府提督は軍令部の意向を無視して即座に艦隊の撤退を要求する。



扶桑『いいえ、提督……もう遅いわ……戦いは避けられない』

元帥「くっ……」

大和『え、な、長門さんどうしたんですか……代われって? えぇ?』


長門『……話は聞かせてもらったぞ、提督』



360: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:47:44.59 ID:XKChcHhOo

元帥「な、長門……」

長門『我々はこれより第一東方艦隊の救援に向かう』

元帥「何を考えてるのだ……すぐさま撤退だといっている! どうにかなる戦力差ではない!」

長門『提督、お前の言うこともわかる……だがしかし、このまま仲間を見殺しにもできない
だから信じてくれまいか? 私達は決して死にはしないし、艦隊の皆も、これ以上死なせはしない!』

長門『提督!』



扶桑『……いいえ、あなた達はそのまま攻め込むのよ』



元帥「扶桑……?」

扶桑『……作戦は成功していた。第一東方艦隊はちゃんと敵を引きつけていた』

扶桑『なら……第二東方艦隊が攻め込まない手はないわ』

元帥「いや……危険すぎる。第二東方艦隊の向かうサーモン海域最深部だって
少なくない敵勢を抱え込んでいるのだ……この作戦は破綻している」

扶桑『長門……あなたはどう思うの? 決して突破できない海域なの?』

長門『……勝てぬ戦ではないよ。シーレーン確保は無理でも、敵の指揮系機能を落とすことはできる』

扶桑『これは今しかできない事よ。私達が引き付けている敵がサーモン海域に戻ってきたら……
それこそ絶望的な状況になる』

元帥「しかし……」


361: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:53:32.34 ID:XKChcHhOo

扶桑『提督、私、戦闘を続行します。被害を最小限に……敵も足止めしてみせます!
……大丈夫、私には考えがあるわ……!』

長門『扶桑……できるのか?』

扶桑『バカにしないで。旗艦なんですもの、無謀なことはしないわ。合理的な事をするだけよ……』

扶桑『だからお願い、私に、私にこの作戦をやらせてください、提督……!』 

長門『扶桑……お前……』

扶桑『長門……わかっているわね? 私達は絶対に作戦を成功させなくちゃいけない
そのためにはあなた達の勝利は必須なの……私はあなた達の事、信じてるから……だから……!』

長門『……まかせておけ。この戦艦長門、必ずや敵大将を討ち取ってみせる』

扶桑『提督、私を……信じてください! お願いします……!』

元帥「扶桑……!」


元帥「すまん……!」



元帥「作戦を……続行する」




362: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:56:23.11 ID:XKChcHhOo

――東方海域――


「うぅ~、いたいよぉ……」

                              「注水を急いで! 至急頼みます!」

「死にたくないよ……だれかたすけて……!」

                              「負傷艦は後方に下がって! みんな、補助を手伝って!」

「だれかぁ~! 誰か火を! 誰かぁ~!」




皐月「みんな下がって! 敵の攻撃は僕達が引きつけるよ!」


文月「文月の本領発揮だよ~」


ドン! ドン! パララララ……


弥生「如月……今の内に……」

如月「ぅ……髪、が~……」

弥生「今は髪のことなんて気にしないでください……」

龍田「砲雷撃戦は任せて~?」

長良「長良の足についてこれる!?」

加古「……おい! どうすんだよ! 今は駆逐軽巡共が敵の攻撃を引き付けてっけど、このままじゃ全滅だぞ!」

扶桑「わかっているわ……だから、これより艦隊を二つに分けます」

山城「姉さま、まさか……」

扶桑「第一艦隊は残存戦力をまとめて撤退。第二艦隊は……」


扶桑「私と一緒に、交戦を続行します」



363: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 22:58:47.13 ID:XKChcHhOo

加古「……マジかよぉ」

山城「扶桑姉さま……そんなのダメです!」

扶桑「合理的な判断に基づく作戦よ。第一艦隊の旗艦は山城……貴女が務めなさい」

山城「! 姉さま! ……無茶です、そんなの」

扶桑「私情は捨てなさい山城。こうすることが最善の道なの」

古鷹「……作戦も果たして味方も逃がす……これなら確かに不可能ではないけど」

山城(囮の囮……なんて酷い話……ッ!)

加古「常識的に考えて、誰がそんな役目を……あ、あたしゃごめんだよ!」


如月「私……なってもいいわよ?」


弥生「如月!?」

如月「大破してるけど……幸い機関部はまだ無事なの。速力ならまだ少し出るわよ?」

弥生「そんな体で……無茶、です」

如月「こんな体だからよ……皆の足手まといなんて、ごめんよ……」

如月「最期くらい、好きにさせて……」

弥生「……わかりました。なら、弥生もお供します」

如月「え……」

弥生「もう、私を置いて行かないでください」

如月「はぁ……全く」

如月「ほんと、あまえんぼさんねっ」


加古「…………くっ、真っ先に自分のことを考えた自分が情けねえ」

古鷹「情けなくなんか無いわ。生き残るのも立派な任務です」

加古「古鷹……」

364: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:00:33.54 ID:XKChcHhOo

山城「姉さま……今度は、私も共に行かせてはくれないのですか……?」

扶桑「あなたには、第一艦隊を無事送り届けるという役目があります」

山城「姉さまは酷いです。残酷です。妹にこんな選択をさせるなんて……」

扶桑「そうね。私はダメな姉ね……」

山城「私は姉さまと離れたくはありません!」

扶桑「……聞き分けが悪い子ね、山城。大丈夫よ、そう簡単に死にはしないわ」

山城「姉さま……」

扶桑「無理はしないわ。きっと生きて帰ってくる。だからあなたも……皆を守って」

山城(確かに……私は皆を守るって決めた……でも、その皆には、姉さま、あなたも含まれているんです……)

山城(誰一人欠けること無く……はもう無理だけど……私は、諦めたくない!)

山城「わかりました。私達は第一艦隊を率いて撤退します」

扶桑「そう、それでいいのよ……山城」



山城(私は……姉さまが思うほど、聞き分けがいい妹なんかじゃない……)




365: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:01:32.99 ID:XKChcHhOo

第一東方艦隊。想定外の事態の為、艦隊を第一分隊と第二分隊に分ける。
第一分隊は戦艦・山城を旗艦とした撤退艦隊。第二分隊は扶桑を旗艦とした囮を続行する艦隊。
極めて少数な編成になった第二艦隊は実質、捨て身の足止め艦隊だった。



366: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:02:57.15 ID:XKChcHhOo

――第一東方艦隊/第二分隊――


扶桑「……ごめんなさいね、あなた達まで巻き込んじゃって……」

龍田「私旧式だし~、ねぇ?」

球磨「まっ、チビ共を逃すのもお姉ちゃんの役目クマー」

如月「ふぅ……苦しい戦いになりそう……」

弥生「……駆逐艦なので、こういう扱いに慣れています、から」

扶桑「そんなこと言わないで。まだ、沈むと決まった訳じゃないわ。
どんなに絶望的な状況だとしても、まだ生き残れるかもしれない」

扶桑「……これはあなたに渡すわね。私が持っているより貴女が持っていたほうがいいわ……
文月ちゃんに会えたら、返してあげなさい」

弥生「……文月の、お守り……」

扶桑「……それじゃあみんな、準備はいい?」


扶桑「……第二分隊、攻撃開始よ」



――――――
―――



367: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:04:00.15 ID:XKChcHhOo

――東方海域・第一東方艦隊/第一分隊――


望月「みんな~、撤退ですよ~」

長月「扶桑達……遅いな。一体何をやっているのか……」

加古(足止めのこと……こいつらには言うなって言われたけど……)

古鷹(結局あとで知ることになるのに……)

山城「…………古鷹、加古、ちょっといい?」

古鷹「……どうしたんですか?」

加古「ちゃちゃっと撤退しないといけないんだから、手短になー」



山城「……あなた達に、旗艦を譲ります」



368: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:04:56.05 ID:XKChcHhOo

加古「はぁ?」

山城「あなた達重巡なら艦隊を統率できるでしょう? 友軍の潜水艦もじきに到着するはずだし
難しいことはないわ……」

古鷹「突然何を……一体、どういうことですか……?」

山城「私……やっぱり戻る」

古鷹「!」

加古「な、何考えてんだぁ!?」

山城「……扶桑姉さまを置いていくなんて無理よ」

山城「私達はいつも共にあった。境遇も、出撃も。だからこれが……自然な流れなのよ」

古鷹「そんな……でも!」

山城「何を言われても行くつもりだから」

加古「……勝手にしろ!」

山城「そ……じゃあ、後は頼んだわよ……」

加古「……バカヤロウが……!」

古鷹「これも、抗いようのない……因果とでも言うの……?」







睦月「あれ? おかしいなぁ~……ソナーに反応が……」


369: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:07:02.78 ID:XKChcHhOo

――東方海域・第一東方艦隊/第二分隊――



扶桑「主砲、副砲、撃てぇ!」ドオォォン!

龍田「天龍ちゃんよりは上手でしょ?」ドン!

弥生「弥生……いきます」ドン


第二分隊、敵艦隊前線部隊に砲撃。直撃こそしなかったものの牽制にはなり、
敵も中々近づけない様子であった。第二分隊はそのまま砲撃を続ける。
がしかし、徐々に牽制の力は弱まっていき、着実に敵の侵攻を許してしまう。


球磨「被弾クマー! さ、さすがにこの数は堪えるクマ……」

龍田「このままじゃ、囲まれてしまいます~……どーしようかしら?」

扶桑「くっ……」

扶桑(まだ、まだよ……こんなところで……引けないわ!)

扶桑「みんな! もう少しこらえて!」

球磨「なかなかしんどい……クマ!?」

龍田「まずい! 魚雷!?」


敵駆逐艦群は魚雷を第二分隊に向け一斉に発射。



ゴオォォォーーーーーン!




370: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:08:41.82 ID:XKChcHhOo

龍田「くっ……! みんな、大丈夫!?」

如月「な、なんとか、ね……」

弥生「! ……く、球磨さんが!」

球磨「も……もう少しで皆に当たるところだったクマ……」

扶桑「あなた……!」





球磨「この球磨の力を持ってしてもここまでかクマ……多摩、北上、大井、木曾
……姉ちゃん、先に逝くクマ」











軽巡洋艦 球磨、多数の敵魚雷をその身に受け、甚大な被害を被る。
その後、軽巡洋艦・球磨は浮力を失い、間もなく沈没す。





371: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:10:14.76 ID:XKChcHhOo

龍田「……!」

弥生「し、死ぬの……? 弥生……ここ、で」

如月「落ち着いて……弥生!」

龍田「敵の砲撃……止みませんね……あは」

龍田「あはは……皆もう終わりよ。でもこんな所……天龍ちゃんには見せられないわねぇ~」

龍田「天龍ちゃんみててー? 龍田、頑張っちゃうねー?」



軽巡洋艦・龍田。単艦突撃。



龍田「あははははは! 敵はどこ! 死にたい船はどこかしら~?」

ドォン!

龍田「かは……!?」

龍田「な、なに……痛いじゃな……!」

ドン! ドン! ドン!

龍田「あ"……あぐぅ……この!」

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!

龍田「ぁ……ぅぁ……」

「…………」

龍田「……!!!」







バシュン!


372: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:11:07.90 ID:XKChcHhOo

軽巡洋艦 龍田、単身突撃の末、集中砲火を浴び行動不能。
雷撃で沈められる。


373: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:14:58.68 ID:XKChcHhOo

扶桑「みんな……ごめんなさい、ごめんなさいっ……!」

扶桑(このままじゃ……!)


弥生「これで……どう!」ドン!


扶桑「! 弥生……!」

弥生「弥生は……死ぬことが、怖くなんかありません、から!」

扶桑(嘘よ……あなた、足が震えてるわ……!)


弥生「――今度は睦月より……先にいける……!」


扶桑「!!」

扶桑(この幼い少女にこんな顔をさせてしまうなんて……私は、
私は……駆逐艦一隻でさえも守ることができないの!?)

戦艦ル級「……ッ!」スチャ

扶桑「……!」

扶桑(終わる……今度こそ、終わってしまう……!)

弥生「私が盾に……!」

扶桑「ダメッ!!!」



ドオォォーーーーーーン……!



敵前線艦部隊、突如として向けられた斉射により多数の被害を受ける。





「全く……、無茶をするんですから」



374: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:17:19.83 ID:XKChcHhOo

扶桑「な、何で……あなた、山城!」

山城「私が扶桑姉さまをおいて逃げるなんてこと、できるわけない……」

扶桑「馬鹿な子……! 本当に馬鹿な……ッ!」

山城「うへぇ、馬鹿は姉さまも一緒ですよ……」

扶桑「全く……もう!」

扶桑「……」

扶桑「はぁ……もう、いいわ……山城、私と貴女って、本当に切っても切れない縁なのね」

山城「どこまででもお供します、姉さま!」

扶桑「……じゃあついてくる? 行き先はぁ……地獄、だけど……?」

山城「もちろん! 姉さまとなら地獄でもどこでも!」



扶桑「……そう、じゃあ、行きましょうか」




375: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:19:14.82 ID:XKChcHhOo

扶桑「主砲、うてぇ!」

姉さま。

山城「砲戦用意! うてー!」

なぁに山城。

扶桑「最大船速……いけるかしら?」

私達は結局、不幸だったのでしょうか?

山城「鈍足ですって? ナメんじゃないわよ!」

どうかしら……?

「扶桑さん! 敵の砲撃、来ます!」

扶桑「回避運動よ!」

だけどこれだけは言えます。今の私は決して自らの生を嘆いてはいないと。

山城「被弾!? そんな……!」

姉さまと一緒なら、どんな不幸も辛くないんです。

扶桑「山城! 大丈夫!?」

私もよ、山城。

山城「まだ、いけます……!」

きっと私達、不幸を克服したのね。不幸を克服したから、私達はきっと……



弥生「て、敵航空攻撃隊……第二陣来ます!!」





――幸福でも、あるのよ。――




その時爆音が、海を覆った。




376: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:21:02.99 ID:XKChcHhOo

弥生「ぅ……?」

如月「……」

弥生「! 如月!!」

如月「あ……気がついた?」

弥生「な、なんで……如月……」


弥生「弥生をかばって……!」



如月「……生きて、弥生」



如月「あなたは、生きて……!」



弥生「如月!」

如月「……」

弥生「きさ、らぎ……?」

弥生「そん、な……」


377: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:22:23.57 ID:XKChcHhOo

ジジー……


『……えているか!? 聞こえているか!』

『第二東方艦隊が泊地戦姫を撃破した! 勝利だ! 我々の勝利だ!』

『艦隊は速やかに戦線を離脱せよ! 繰り返す……』


弥生「……何が、勝利なの……」

弥生「これが、これが弥生達の求めていたもの……?」

弥生「こんな、ものが……!」




生きて……!




弥生「!」

如月「……」

弥生「生き、なくちゃ……」

弥生「絶対に、生き残るんだ……!」

弥生「……まだ、文月に、お守り……返してない……!」

弥生「生きなくちゃ……!」




378: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:22:57.25 ID:XKChcHhOo

駆逐艦 如月、大破しつつも最後まで艦隊に従軍する。
最期は敵航空隊の攻撃から弥生を庇い、その一生を閉じる。


379: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:26:36.05 ID:XKChcHhOo

山城「弥生……あの子、無事に帰れるかしら……?」

扶桑「大丈夫よ山城……きっと、文月のお守りが、彼女を守ってくれるわ……」

山城「そう、ですか……」


扶桑「……やっぱり私、沈むのね」


山城「そうですね……」

扶桑「……私、守れたかしら……弥生を、皆を……」

山城「ええ、姉さまは守ることが出来ました……」

扶桑「きっと、皆の不幸を私達が引き受けたのね……」

扶桑「もしそうなら、私達の不幸体質も捨てたものじゃないわね……」

山城「姉さま」

扶桑「なぁに、山城」

山城「扶桑姉さま……あちらの世界でも、ご一緒に……」

扶桑「ええ、私達はずっと一緒よ」






扶桑「やっぱり空は、今日も青い……」








380: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:27:15.93 ID:XKChcHhOo

戦艦 扶桑・山城。圧倒的劣勢にありながらも最期まで砲撃をやめること無く
果敢に戦った。敵航空隊の攻撃により、共に果てる。


381: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:30:16.93 ID:XKChcHhOo



こうして東方艦隊は多大な被害を被りながらも、深海棲艦の姫を撃破することに成功した。

……以上が、『東方作戦』の全容である。




――数日後。


――鎮守府・司令官室――


将校「……みんな、東方作戦……ご苦労だった。
泊地戦姫を撃破したお陰で近日中にもサーモン海域は……」

長門「……誰だお前は?」

将校「? おや、聞いてないのか? この度新しくこの鎮守府を指揮する事になったものだ」

大和「……前の提督は?」

将校「ああ、彼は元帥の階級を剥奪されて軍法会議に掛けられているよ」

長門「……何?」

将校「……軍令部には元々彼のことを快く思わない人間もいたし……何より、
軍令部をその絶大な権力をもってして解体しようとまで目論んでいたようだからね
なれば、反発を受けるのは必死。巨悪は滅されるべき。当然の成り行きだとは思うが」

比叡「そんな……酷い!」

霧島「一体誰がそんなことを!」

将校「そんなことを、君達が知る必要はない」

霧島「…………」

将校「専横なトップは消えたんだ。今日からはこの腐った鎮守府という組織を
浄化していかなくては……」


382: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:34:17.42 ID:XKChcHhOo

弥生「……あの」

将校「……どうしたのかな?」

弥生「む、睦月達は……第一東方艦隊/第一分隊の」

弥生「私……ついさっきドックから出たばかりで……何も」



将校「あー、彼女達か……第一分隊は全滅したよ」



弥生「え……?」

将校「撤退途中に深海棲艦の潜水艦隊と出くわしたようでね……皆一気に沈められた」

弥生「? ……え?」

将校「皮肉だよなぁ……味方の潜水艦と勘違いして警戒を解くなんて」

将校「潜水艦隊の支援を勝手に変更しなければ、こんな事にはならなかったってのに」

将校「彼の心中をお察しするよ……自分が同じ立場だったらぞっとするね」

弥生「そんな……睦月……皐月……文月……みんな……!」

弥生「そんなそんなそんなそんなそんなそんな……!」

将校「君は運が良い。第一東方艦隊の唯一の生き残りだ。胸を張るといいぞ!」

弥生「あ……あぁ……」




弥生「いやああああああああああああああああああああああああッ!!」




弥生の掌から落ちる、小さな小さなお守りは、

彼女にとっての、呪いとなった。






383: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:35:19.61 ID:XKChcHhOo

――そしてその後、戦況は目に見えて悪化することになる。





元帥「……すまない、あの時……やはり撤退をするべきだったのだ……私は本当に無能だ……!」

元帥「すまない……本当に、すまない……!」



鎮守府を指揮していた提督は軍令部の謀略により称号を剥奪され軍直轄の施設に軟禁される。
後日、室内で腹を切って亡くなっている所を発見された。



384: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:39:29.20 ID:XKChcHhOo

――鎮守府・港――


長門「……難儀だな。無謀な作戦に駆り出されるなんて」

比叡「まぁ、命令ですからね~……」

長門「この前の作戦も、やれ元帥が悪いだ、艦娘が悪いだで……話にならん」

長門「新しい提督を置いたと思ったら……今は『次世代艦娘建造計画』なんて謳ってるよ」

霧島「……本当に有能な人間が消されて、本当に無能な人間が残った……」

霧島「本当に、救いようのない状況ね……」

長門「それでも妖精達は信用できる。もしかしたら本当に"次世代艦娘"なんてものが
拝めるかもしれないぞ……?」

霧島「希望的観測に基づく思考をし始めたら終わりよ。戦争末期じゃないんですから」

長門「少なくとも……上層部はそんな連中ばかりだ」

比叡「みんながみんな、そうでは無いはずです。きっと中にはまだ、まっとうな精神を
もった人がいるはずです」

比叡「私は信じています。だから私は、後に繋げるために今日を戦うんです!」

長門「そうか……」





比叡「比叡! 気合! 入れて! 行きます!」







戦艦 比叡・霧島、サーモン海域の制海権奪還に向かう。しかし新提督の着任等によって生じた組織再編等の
遅れが、すっかり敵に軍備補強期間を与えてしまい、比叡らはより強力となった敵艦隊と対峙することになる。
未確認の"戦艦棲姫"等強力な戦力の前に、艦隊は敗北を喫し、比叡・霧島は共にサーモン海の底に沈んだ。





385: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:40:30.69 ID:XKChcHhOo

弥生「……弥生はもう、終わりにします」

弥生「……終わりに、させてください」

弥生「なんで」

弥生「……それでも尚、生きろと言うのですか!」



弥生「……やめてください。ごめんなさい、赦してください。もう嫌なんです」



駆逐艦 弥生。第一東方艦隊唯一の生き残りであったが、ある日突然姿を消す。





……その後、彼女の行方を知るものはいなかった。






386: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:42:09.48 ID:XKChcHhOo

――南方泊地――


飛龍「……蒼龍、この前の作戦の報告、聞いた?」

蒼龍「んー? いやまだだけど……」

飛龍「敵艦隊は依然として健在……それどころか、前にも増してより強固な艦隊を展開しているって」

飛龍「そして、その艦隊は……次にどこを狙うんだろうね?」

蒼龍「もしかして……ここ? とかだったり……?」

飛龍「……」

蒼龍「え、なにそれ……本気で言ってるの?」

飛龍「私達も、覚悟を決めないとね……」

蒼龍「ごくり……」

飛龍「まぁそう悲観することないって! 新造艦も期待できるみたいだし」








飛龍「えっと、なんて名前だっけか……うーんと、確か……大鳳だったかな?」




387: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:42:59.98 ID:XKChcHhOo
NEXT【ある泊地に一航戦と五航戦がおりましたとさ Chapter3】

389: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:48:10.07 ID:XKChcHhOo
no title

色々詰め込み過ぎたっぽい。何か話がつながってきてるっぽい。
また次回っぽい。ぽいぽい!

390: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:51:40.41 ID:78BF9LO6o
乙です

392: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/11(火) 23:59:56.25 ID:zHWw6hzyo
ハートウォーミング…?
でち公東京行ってこい

393: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 00:22:52.72 ID:Vy2oQgeco
でち公このやろう

アニメ化したらこうなると困りますね
SAN値的に

394: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/12(水) 00:38:06.41 ID:Pi/ulo+Z0
Hurt Warmingですねわかります

皆にお疲れと言いたい……今は眠れ……


【艦これSS】終末艦これショート その1
【艦これSS】終末艦これショート その2
【艦これSS】終末艦これショート その3
【艦これSS】終末艦これショート その4
【艦これSS】終末艦これショート その5
【艦これSS】終末艦これショート その6
【艦これSS】終末艦これショート その7
【艦これSS】終末艦これショート その8
【艦これSS】終末艦これショート その9
【艦これSS】終末艦これショート その10
【艦これSS】終末艦これショート その11